move°S: 常に音が主役に
アーティフィシャルヘッドはバイノーラル録音や測定、そして通話デバイステストにおいて話者をシミュレーションするのに不可欠です。しかしながら、基本的にアーティフィシャルヘッドは常に止まった状態であり向きを変えることはできませんでした。
人は聞いたり話したりするときに首を回わします。そうすることによりいろいろな効果があります。首の回転に伴い外耳の伝達関数が変化する為、聴こえる音は変化します。言い換えると、私たちは直感的に首を動かすことによって相手の話をよりよく聞こうとします。 私たちは無意識に音声が明瞭に聴こえる為の重要な周波数帯が外耳や頭で減衰することなく十分なエネルギーを維持したまま鼓膜に届くように仕向けているのです。
聞き手に聴こえる音声の印象も話し手の頭の動きに伴って変化します。 話し手が首を曲げると、発話地点の音場、特に高域成分がかなり変化する為、話し手は相手が明瞭に聴こえるように直感的に相手の方に首を向けるのです。
VRやARで開発者は人が首が回転するときに、音場を頭の回転に追従させるのでなく、音場を自然な位置のままに維持することにより、バーチャル世界をよりリアルにシミュレーションします。このことで新たな疑問が起こります。首が回転するとき、音響シミュレーションは視覚シミュレーションにマッチしているでしょうか。
回転時にノイズが発生せず完全な測定ができます。
もしこれらの効果が測定時に考慮されなければ、結果は現実を反映しないことになります。しかし今日の測定技術はそれらを考慮していません。
その為、HEAD acoustics は move°S を開発しました。このアーティフィシャルヘッドのベースは測定中でも回転ノイズを発生させません。人と同様に135 度まで回転し、135 度回転するのにかかる時間は 1.5 秒未満です。
この自然なヘッドの回転は実際の話者とリスナーをシミュレーションしており、測定技術における実際の人の挙動シミュレーション、再現性、実環境の反映、異なるシステム間の比較においても斬新なソリューションです。
すべてのアプリケーションにおいてベストの結果を
move°S はすべての通話システムの測定においてより有意義な測定結果をもたらします。 とりわけ、ハンズフリーやカーハンズフリー通話システム、カンファレンスシステムやスマートホームのような指向性が関係するシステム、VR/AR通話システムの測定に大きな効果を発揮します。首の回転によりバイノーラルの測定精度が改善するだけでなく、 VR/AR ヘッドセットにおける首の回転に伴う追従精度の調査が可能になります。In-Car 通話 (ICC) や音声認識のテストにおいては、 move°S を用いることにより各段に正確で有意義な結果が得られます。move°S は指向性を伴った発話や受聴において、リアルでオールマイティーかつトラブルフリーなアーティフィシャルヘッド測定に必須です。
これらが move°S を活用する主なメリットです。
- 測定中の回転静粛性確保
- 自然なヘッド回転: 人の首と同様の回転速度と回転角度を実現
- 話し手と聞き手のシミュレーション: マウス音場と外耳道の伝達関数の自然な変化を再現
- move°S により人の実際の挙動のシミュレーションがさらに進化
- モーション・シーケンスの高い再現性
- 回転による測定結果の比較が可能
旧システムのアップグレードも可能
move°S は 2021 モデルの HMS II.x と 2021 モデルの HSU III.2, HSU III.3 からアップグレードが可能です。HEAD acoustics ドイツ本社にて HMS II.x と HSU III.2, HSU III.3 への move°S 技術の後付け搭載が可能です。